輪るピングドラム第14駅「嘘つき姫」感想

ゆり回。珍しく高倉兄妹がおまけになっている。

 

ヅカ風の劇シーンからスタート。今となってはこれも懐かしいですね。

ゆりと結城翼のベッドシーンからの爆速破局

「前から思ってたけど、あなたってワンパターンでつまらない。そんなテクで女が満足するとでも思ってるの?」

…いや、これキッッッツw、くないですか?w私だったらこんなん言われたらフツーに泣いてしまう。繊細乙女だから。。いや、こういうのしたことないから知らないけども!

「この世界は残酷なルールに支配されている。求められる者と求められない者。その二つを分けるラインが私には見える。」

「嘘よ。この世界はみんな嘘でできている。未来永劫、誰も私を本当に求めたりなんかしない。あなただけだった。あなただけが私を美しいと言ってくれた。会いたい。今すぐあなたに。」

きらびやかな舞台人・ゆりの悲痛な心の叫びですねー。この二つの発言から、

  • ゆりは元々求められない側の人間であった。
  • 誰か(後続の場面から初恋の相手すなわち桃果と判明する)だけがゆりを美しいと言ってくれた。
  • 今既に彼女はいない(桃果は95年の事件に巻き込まれて亡くなっているため)。なので、結局今本当のゆりのことを求めてくれる人はいない。

という事が読み取れます。求められない側と求められる側を行き来した(そして今前者に在る)からこそ、求められる者と求められない者を分けるラインが見えるんですね。。これ大事なやつ。

 

ちょっとピングドラムから話逸れますが、「会いたい。今すぐあなたに。」という台詞を今になって聞くと、この作品の監督である幾原邦彦監督の次の作品「ユリ熊嵐」を思い出します。あの作品、たしか一番最初の台詞がこれだったんです。

「会いたい...今すぐあなたに会いたーーーい!」

勿論、ゆりの発言と関連があるわけではないですが。。

ユリ熊嵐ピングドラムに負けず劣らず難解(個人的にはピングドラムより取っつきづらい)なんですが、あれって一言で言うと「本物のスキの力で断絶を超えて一緒に生きる!」話だったと思うんですね。あの世界の中では、本物の強いスキの力で断絶を超えることができた。件の台詞は断絶の向こうにいる大好きな相手に今すぐ会いたいよー!(会いに行く!!)という意味なんです。

だから同じ言葉でも、「ユリ熊嵐」のそれの方がずっと前向きで強くて明るくてポップに響いていますね。会いたいって強く強く願ったら会えるから。

ユリ熊嵐の世界って不可逆な不幸みたいなものをあまり感じなかったし今から思うとなんだかパワフルな世界観だったのかも。。時間ができたら、あれももう一度きちんと見直したいです。(ちなみにメインキャラクターの一人は陽毬ちゃんの荒川美穂さんが声優を担当されています。ダイスキ。)

 

ピングドラムの話に戻ります。

場面変わって、苹果ちゃん。「すっごく待ったんだからね!」とぶりっ子調に晶馬に駆け寄りますが、自分は両親が苹果(の家族)に対して犯した罪を償えないから、もう関わらない方が良い、と徹底的に拒絶されてしまいます。Ep.11の良い感じの雰囲気はどうした?

Ep.13のラストから察せられるように、苹果は自分の運命(姉の死別に伴う両親の離別や自分と晶馬の運命(犯罪者の家族と被害者の家族という関係)を受け入れ、現在とそこに続く未来を見ており、今自分の持っている感情や他者との関係性を大切にしようという意思があります。しかし、晶馬は現段階ではそうではなく、あくまで自分の家族の過去を自分の罪として捉え、それに囚われており、被害者の家族は絶対に加害者の家族を許さないのだ、と苹果を拒絶するのですね。

あの事件に伴う影や世間からの攻撃というのはあまり具体的には描写されませんが(陽毬ちゃん消しゴム投げられ事件くらい?)、晶馬(や高倉兄妹)の傷の深さがここから伺えますよね。晶馬の言い分は晶馬視点で考えると、ごもっとも?とは違うけど、ああ言ってしまうのも無理ないのかも。

それにしても、ここの表情良いよね。

 

泣きながら膝をついた苹果ちゃん(地面ばっちい...)を拉致って再びゆりさんのターン。今回(と次回)はゆりさんにフォーカスする回なんですね。好きな台詞はこれ。

「彼女といれば、どんなものもキラキラ光って見えた。世界は愛すべきものに満ちている。そう、この私も含めて。」

これね、分かる。愛してる人がいて、その人と一緒にいると、確かに世界ってキラキラするし、そんな世界に身を置いている自分のことも肯定できますよね。。しみじみ感。。

本当の私を知って、それでも私を美しいなんて言う人はいない。嘘、嘘、嘘。この世界はみんな嘘。美しいものだけが本当。だから誰も、私のことなんて愛していないの。だけど…だけど、桃果はこの世界でたった一人私のすべてを知っていて、それでも私のことを美しいと言ってくれた。彼女だけが本当の私を認めてくれたの。桃果は、私の運命の人だった。

桃果はゆりの運命の人だった。そしてこれまでの田蕗の発言や露天風呂の場面、卓球の場面の情報を総合すると、田蕗にとっても桃果が運命の人で、桃果をよすがとしてゆりと田蕗が繋がっているのではないか?、と読み取れますね。

それにしても、ゆりの体には一体何があるんだ。。具体的に何がどうというところは結局明かされないんですが、結城翼が脅しのタネにしちゃうくらいの身体的特徴って何なんでしょう。女性器になんらか細工されてるとか?ですかね。このほか良い感じの仮説をお持ちの方、ぜひご教示ください。

 

Ep.14は伏線の回収よりも延長が多くすっきりしない回となりました。。が、きっとEp.15で何かしらの大きな謎が明かされるはず、と信じて1週間待った者だけがカタルシスを手にします(多分)。続きは来週。