輪るピングドラム第11駅「ようやく君は気がついたのさ」感想
言語センスが光る回。今回は好きな台詞のまとめを中心に。
日記の半分を奪った犯人が真砂子である事を知った冠葉が夏芽家に突撃する所から話が始まります。夏芽家、かなり物々しい。
「ねえ、わたくしの事、どのくらい愛してる?」
(中略)
「忘れたの?あの時わたくしに言ってくれたこと。」
ここ、初回視聴時は「何言ってんだ?」って感じで流してたけど、よく考えながら見ると切ないよね。素直に読むと、かつて冠葉が真砂子に愛を向けていた(が、今はそれがない)と読み取れるからね。
そして、真砂子の台詞の中でトップ5に好きな台詞。
南極の皇帝ペンギンよ。氷壁の水際で飛び込むのを躊躇っている大勢のペンギンたち。彼らのうち、一羽が飛び込めば海の中に獰猛な海豹がいるかどうかが分かる。無論、誰も死にたくはないわ。だから彼らはひたすら待つの。氷の上で押し合いながら、ついてない誰かが海へ落ちてゆくのを。
場面が変わって、晶馬と苹果が電車に乗っているシーン。丸の内線がこんなにガラ空きって凄いよなー(今ならなくはないけど)って昔思ってた。。
そして、晶馬と苹果の分かりあえなさが愛おしいですね。晶馬の鈍感さに呆れた苹果によるリズミカル暴力。でも苹果ちゃん、これもう完全に晶馬が好きじゃん。(やかましい外野)
晶馬に突き放されて一人でプロジェクトMの続きに挑む苹果ちゃん。。ですが、ベッドに運ばれて田蕗に押し倒されてキスを迫られたところで気持ちが変わります。キスを迫られたところで、全然嬉しくない、キスしたくない、と思って自分の気持ちに気づくんですね。
これ、つまり苹果ちゃんは好きな人以外とはキスできない人って事を意味しているので、可愛いなと思いませんか?好きじゃない人とキスできるかできないかは人によって諸説あるし、誰がどういうスタンスでもよいんですが、好きな人以外とはキスできない子って可愛いなって私は思います。キスの特別感がすごい。。
「そうよ、お馬鹿さん。自分の本当の気持ちにも気づかないなんて。」
ここのゆりさん艶っぽくて好き。ていうか、ゆりさんは全話通して好きですね。ピンドラ前半線は苹果目線多かったから恋敵ポジだったけど、ゆりさんは全然悪い人みたいな行いをしてないですからね。
「どうして...どうしてあなたはあたしの前に現れたの。どうして、あたしはあたしだなんて言ったの。どうして…どうして…あなたはあたしの何なのよ」
で、最後のこれです。これ好き!!!!晶馬に出会った事で苹果の人生って変わっちゃったんですよ。どうしてくれるんだよ!お前に出会ってお前を好きになったせいで!ってやつ。
は~~~~~~~~~~~(ため息)
ドクターXで加地先生が大門に同じような事言ってますけど、あれも実質愛の告白みたいなもんだと思ってますからね私は。だってどうでもいい人にはそんな事言わないじゃん。それこそ本気で嫌な相手とかだったらゴキブリ潰すような感じでひたすら排除して終わりなんですよ。
私も誰かを好きになって人生計画狂わされたいよなぁとひっそり思ってみたりする異常独身女性(24)なのでした。
この回は、最後はちょっと衝撃な感じで終わりますね。「きみのお姉さんが死んだのは、僕たちのせいなんだ」
例の事件のモチーフになっているのは勿論95年3月20日の地下鉄のあの事件ですね。ピングドラムの初回放映が2011年なのでその16年前でちょうど95年、ということになります。作中たびたび95という数字が出ていたのはこれの事で、つまりすべての始まりは95年のそれ、ということを意味しています。
95年の3月20日に生まれた晶馬がその日に起こった事件に責任があるってどーゆーことやねん、という疑問を観客に残してエンディング。
詳細はEp.12でまた説明はあるので良いんですが、肝心の「晶馬があの事件に責任がある」というのは結局24話まで見ても私にはしっくり来ないのよね。事件の日、晶馬は生まれたばかりで、何もわからない赤ちゃんで、事件の計画にも実行にも何も関わっていないわけですよ。にも関わらず責任があるってそれは責任範囲広げすぎでは?と思うのです。
最近もう一度見返してみた時に「原罪」という考え方が背景にあるのかもなぁと思ったりはしたが。。このあたりは後続の回でまた考察を深めたいところ。
次回は第12駅「僕たちを巡る輪」え、折り返し地点にして既に最終回感のあるタイトルですが大丈夫?wという思いを胸に…生存戦略、しましょうか。